働き方改革関連法案成立から考察する今後の人材マネジメント

2018年7月6日に「働き方改革関連法案」が成立しました。主な内容としては、下記の通りです。

 

1.フレックスタイム制の見直し

2.時間外労働の上限規制

3.中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

4.一定日数の年次有給休暇の確実な取得

5.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

・ 施行時期は下記の通り

1、2(※)・4・5・・・2019年4月1日

3    ・・・2023年4月1日

※2の中小企業は、2023年4月1日

 

ここでは、2と5の関連性から考察したいと思います。

細かい制度については、別途ご参照いただくとして、概要について触れてきます。

2は時間外労働時間に制限をかけ、これまで曖昧だった「特別延長」について厳格に運用しようとするものです。一方で、5については、一定の業務要件等はありますが、原則年収1075万円以上については、労働時間・休日、深夜の割増の規定から除外されるというものです。

少し極端な例ではありますが、以上のことから、会社は、従業員に対して時間を管理し、時間単位で賃金を支払い、高度な専門性があり時間管理が嫌だったら賃金を増額するということになります。

また、現行では労働基準法41条における管理監督者の規定もあります。日本においては、まだまだ、管理者が処遇される傾向にありますが、高度な専門職と賃金の逆転現象も想定されますが、「真の意味」で経営に近い管理者に対しては、賃金が上昇する傾向になるのではないでしょうか。

今回、既存の裁量労働時間制適用範囲の拡大については見送られましたが、上記の2つだけでも十分なインパクトがあります。

 

 

これらのことは弊社さかえ経営が以前から提唱している理論に近いものがあり(内容は弊社HP:基本コンセプト参照)、緩やかにではありますが、徐々にそのような方向になるのではないかと考えています。

一言で言うと、「人材の選択と集中」です。一見すると、「嫌な言葉」に聞こえるかもしれません。しかし、この低成長時代においては、全員が大幅な昇給等を望むのは難しいのも事実です。また、一方で、労働法規を順守しなければならないものも事実です。

経営者もしくは行動な専門職については、労働時間に捉われない自由な環境で仕事を行い、その結果についても厳しく求められます。

一方で、厳格な労働時間時間管理の元、定型的な作業・ルーティン業務を実施する人がいます。それらの人については、結果が求められることはあまりなく、賃金も緩やかに上昇していく層です。

これからの人材マネジメントについては、これらの事実を認めつつ、如何にして全社のベクトルを統一するかに注力すべきだと考えています。

 

具体的には、経営からのニーズと従業員からのニーズをどのように融合させるのかが一番のポイントだと思います。そのためには、経営からのメッセージ・方向性を可能な限り、明確にしてあげる必要があります。

明確という意味は、「言語化」してあげることです。経営計画や経営理念等、会社の方向性を占めるツールは、たくさんあるかと思います。その中で、どのように一貫性を持たせ、またどのような機会でもって周知させるのかをよく考える必要があります。

その周知させる機会の一つが人事制度であったり、教育プランであるべきです。

また、注意しなければならないことは、すべての人材の満足を満たす必要はないということです。

昨今の風潮に乗り、全ての人材に「いい顔」をすることは、逆に規律やモラルを保つことができず、優秀な人材の流出、業績の後退にもつながりかねません。

これからの時代において、少子高齢化に伴う労働人口の減少、多様化社会に伴う会社に対する使命感・忠誠心の低下などが予想されます。一方で、この低成長時代においても、企業は日々、業績向上が求められています。

 

管理と自由、創造と統制、これらの矛盾した内容をどのように対応するのか。今回の法改正において、一つのヒントになっていると思います。

大きく分けて2通りの人材(場合によっては3通り、4通り)に対して、明確にアプローチを分ける必要があると考えております。一方で、「やり直しがきく制度」にするべく、その異動はできるだけフレキシブルに行うことが求められます。一番重要なのは、制度によって硬直化させないことが不可欠となります。

 

本コラムを通じて、今回の法改正を元に人材マネジメントそのものをご検討頂く一助になればと考えています。

 

 

 

 

2018年07月19日