ミスの多発とクレーム増加からの業務再構築
2026.10.03
工数削減とエラー撲滅を同時に実現した業務移管
当社は全国に店舗を展開しており、正社員のほか、パート・アルバイトを多数雇用しています。
給与計算は本社の人事部で内製しており、複数名の担当者が店舗ごとに分担して処理を行っていました。
雇用形態が多様で、時間帯別の割増や交通費の精算、店舗間の異動に伴う処理などが日常的に発生します。入退社の件数も多く、月次の処理量は相当なものでした。
その結果、給与明細の誤り、交通費の支給漏れ、社会保険の資格取得手続きの遅れといったミスが繰り返し発生し、従業員や店長からのクレームが増えていました。
ミスが起きるたびに原因を調べ、再計算し、説明と謝罪を行う。その対応にさらに工数が取られ、本来の業務が後ろ倒しになるという状態が続いていました。
担当者を増やしても処理量に追いつかず、むしろ引継ぎや確認の手間が増えているという実感がありました。
この状況を改善するため、給与計算・社会保険事務の外注化と、業務そのものの見直しをあわせて行うことを決めました。
1.問題と課題
現状を整理したところ、以下のような問題点が抽出されました。
- 店舗から本社への情報伝達の経路が複数あり、どの情報が正か判断できない
- 同じ情報を、勤怠システム・給与システム・管理用Excelに重複して入力していた
- イレギュラーな支給・控除の処理方法が担当者ごとに異なっていた
- 勤怠マスタの登録タイミングが遅れ、締め後の修正が常態化していた
- 入社登録のフローが店舗任せになっており、必要情報が揃わないまま計算に入っていた
ポイントを整理すると、ミスは担当者の注意力の問題ではなく、情報の流れが分岐していることと、イレギュラー処理が標準化されていないことに起因していました。
2.業務の引継ぎと現状把握(STEP1:業務把握)
さかえ経営には、まず現行業務の全体像を把握してもらい、そのうえでミスが発生している工程を特定してもらいました。
月次の作業を工程単位に分解し、どの情報がどこから入り、誰が加工し、どこで突合されているかを図に整理しました。
その結果、店舗からの連絡がメール・電話・システム入力の三経路に分かれており、同一の変更が別々のタイミングで届いていることが判明しました。
このうえで、情報の入口を一本化する方針を定め、運用の変更とデータ連携の自動化を並行して進めました。
3.BPO開始後の運用(STEP2:BPO開始)
移管後は、勤怠マスタの登録タイミング、入社登録フロー、その他のワークフローの見直しを随時実施しました。
さかえ経営の方針として、「情報の経路を一つにすると同時に、当社側でのデータ作成・加工を極力排除する」という考え方で設計が進められました。
当社が行うのは、店舗から上がってきた情報をそのまま渡すところまでで、給与計算用のデータへの加工はさかえ経営側で行う形です。
また、従業員からの問い合わせの受付、勤怠の確認・締め作業についても対応してもらえたため、本社側の作業は大幅に減りました。
多店舗かつ非正規社員が多い当社にとって、従業員からの直接の問い合わせに対応してもらえることは、想定以上に効果の大きい点でした。
4.業務改善の実施(STEP3:BPO業務改善)
業務が安定してからは、効率化とエラー撲滅を目的とした改善に着手しました。
イレギュラー対応のフォーマット化を進め、これまで担当者の判断で処理していた例外を、あらかじめ定めた様式と手順に乗せる形に変えました。
あわせて、データ連携フローの大幅な見直しを行い、システム間の受渡しで人が介在する箇所を削減しました。
エラーが発生した場合には、原因と対策を整理して共有する運用が徹底されており、同じ種類のミスが繰り返されることがなくなりました。
5.導入後の効果と今後の展開
導入後、当社側は最小人数で対応できるようになりました。約600名規模の給与社保業務を、当社の担当者1名で回せる体制になっています。
ミスは大幅に軽減され、従業員や店舗からのクレームもほとんどなくなりました。業務の安定が実現したことが、最も大きな成果です。
今後は、管理会計システムとの連携を図るため、部署・役職管理のオペレーションを徹底していく予定です。
あわせて、人的資本に関するデータ分析についても、整備されたデータを活かして取り組んでいきたいと考えています。