給与社保業務の人員半減とコスト構造の見直し
2026.10.05
計算ロジックの整理により実現した人員の適正化
当社は事業部ごとに給与体系が異なり、手当の種類も多い会社です。
給与計算と社会保険事務は本社の人事部で内製しており、担当者は複数名体制でした。加えて、各事業部にも情報の取りまとめを行う担当者がいました。
長年の運用の中で、処理は一定の精度で回っていましたが、経営から「給与計算にかけている人員とコストが、規模に対して多すぎるのではないか」という指摘を受けました。
確かに、月次の処理には多くの人手がかかっており、繁忙期には残業も発生していました。ただし、どの工程にどれだけの工数がかかっているのかを、当社自身が正確に把握できていませんでした。
そこで、業務の外注化を前提に、コスト構造を含めた見直しを行うことにしました。
1.問題と課題
現状分析の結果、以下のような問題点が抽出されました。
- 事業部ごとに情報の取りまとめ担当がおり、同じ作業が並行して行われていた
- 手当の計算ロジックが複雑で、担当者以外には検証できない状態だった
- 元データから最終アウトプットまでの流れが体系的に整理されていなかった
- 情報の入口が複数あり、二重計上や抜け漏れのリスクを抱えていた
- 工数の実態が把握できておらず、適正な人員数の判断ができなかった
ポイントを整理すると、人員が多いことは結果であり、原因は情報の流れが整理されていないことと、計算ロジックが可視化されていないことにありました。
2.業務の引継ぎと現状把握(STEP1:業務把握)
さかえ経営には、実際の計算の流れを元データから体系立てて整理してもらいました。
支給控除の各項目について、どのデータを起点に、どのような順序で、どの条件分岐を経て金額が決まるのかを一覧化し、当社と共有しました。
そのうえで、同じ元データから独自に計算を行った結果と、当社の現行システムの計算結果を突合し、ロジックの確認を行いました。
この過程で、運用の中で例外扱いになっていた処理や、根拠が明確でないまま続いていた計算がいくつか明らかになりました。
さかえ経営はコンサルティングの実績があるため、複雑な制度についても理解が早く、仕組みとして整理するところまで進められた点が助かりました。
3.BPO開始後の運用(STEP2:BPO開始)
移管にあたっては、情報の侵入経路を厳格に定めました。
事業部から直接さかえ経営に連絡が入る経路と、人事部を経由する経路が混在すると、二重計上や抜け漏れが起こります。そのため、どの情報をどこから出すかを明確に決め、例外を認めない運用としました。
移管当初は、二重計上や抜け漏れがないよう細心の注意を払いながら進め、一定期間はアウトプットを共有して相互に確認する形を取りました。
当社側の作業は、データの加工を極力排除する方向で設計され、情報を渡すだけの状態に近づけていきました。
4.業務改善の実施(STEP3:BPO業務改善)
運用が落ち着いた段階で、制度そのものの見直しに着手しました。
効率化を進めることと、制度の趣旨を維持することのバランスを考慮しながら、手当の統合や支給要件の整理について検討を進めました。
計算ロジックが可視化されたことで、「この手当は別の手当と目的が重複している」「この条件分岐は実質的に機能していない」といった論点が具体的に議論できるようになりました。
5.導入後の効果と今後の展開
導入後、情報の導線が一つになったことでエラーが低減され、あわせて給与社保業務に携わる当社の人員を半減することができました。
事業部側で行っていた取りまとめ作業も整理され、間接部門全体の負荷が下がっています。
また、ロジックを整理する過程で、制度上の矛盾や不整合(いわゆるデコボコ)が確認できたことも成果でした。
今後は、従業員からの問い合わせ窓口の外注化を進めるとともに、確認された制度上の課題について見直しに着手する予定です。