属人化した複雑な給与計算ルールの可視化と仕組化
2026.10.07
ロジックの明確化による基幹業務の安定と人員の適正化
当社は工事現場ごとに勤務形態が異なり、現場手当、日当、宿泊を伴う勤務の取扱いなど、独自のルールが積み重なってきた会社です。
給与計算は本社で内製していますが、これらのルールを正確に処理できるのは実質1名、補助的に対応できる者を含めても2名という状況でした。
ルールは就業規則や賃金規程に一部記載があるものの、実際の運用は「過去からこう処理している」という慣行に依存しており、規程だけを読んでも計算を再現できません。
当該担当者が退職や異動をした場合、後任の育成には相当な時間がかかると見込まれ、経営上のリスクとして認識されるようになりました。
そこで、業務の外注化を通じて、ルールの可視化と仕組化を同時に進めることにしました。
1.問題と課題
現状分析の結果、以下のような問題点が抽出されました。
- 給与計算ルールが複雑で、対応できる人員が実質1名に限られていた
- 運用ルールが規程に反映されておらず、慣行として引き継がれていた
- 一部の処理について、なぜその計算をしているのか根拠が不明だった
- 担当者からの引継ぎに時間が取れず、口頭での説明に限界があった
- 後任育成に要する期間が読めず、人事異動の計画が立てられなかった
ポイントを整理すると、問題は制度の複雑さそのものではなく、複雑さが個人の頭の中にしか存在していないことでした。
2.業務の引継ぎと現状把握(STEP1:業務把握)
さかえ経営には、実際の計算の流れを元データから体系立てて整理してもらいました。
勤怠データ、現場ごとの区分、雇用区分、各種手当の支給要件を突き合わせ、どの条件の組み合わせでどの金額が算出されるのかを整理していきました。
整理した内容に基づいて計算結果を共有し、当社の現行の結果と照合することで、ロジックの確認を行いました。
さかえ経営は複雑な制度への対応実績があり、断片的な情報からでも構造を推定して仕組みに落とし込める点が、今回の進め方に適していました。
3.BPO開始後の運用(STEP2:BPO開始)
移管の過程では、不明なロジックの推定と、未確認のフローの整理・構築を並行して進めました。
担当者が説明しきれなかった処理についても、過去のアウトプットから逆算して仕様を推定し、当社の確認を経て確定させていきました。
また、さかえ経営側の別システムで同じ条件の計算を行い、結果が一致するかを検証してもらいました。これにより、推定したロジックの妥当性を数字で確認することができました。
この検証の過程で、従来の処理のうち一部に誤りがあったことも判明し、あわせて是正しています。
4.業務改善の実施(STEP3:BPO業務改善)
ロジックが明確になった後は、非効率な業務の改善に着手しました。
情報伝達の経路を再整理し、現場から本社、本社からさかえ経営への流れを一本化することで、当社側の工数削減を図りました。
あわせて、慣行として運用されていたルールのうち、規程に反映すべきものを整理し、規程改定の検討材料としました
5.導入後の効果と今後の展開
導入後、計算ロジック等が明確になり、基幹業務が安定すると同時に、既存人員を削減することができました。
特定の担当者しか対応できない状態が解消され、担当者の異動や退職が業務継続のリスクにならなくなったことは、数字以上に大きな効果だと考えています。
今後は、従業員からの問い合わせ窓口の外注化を進めるとともに、可視化されたルールを踏まえて、給与計算ルール・制度そのものの変更を検討しています。