伝えているのにミスが出る状態の原因追究と是正
2026.10.13
情報の侵入経路の整理によるエラーの激減
当社は給与計算を外部に委託していましたが、アウトプットのミスが継続的に発生していました。
当社としては、必要なデータを期日までに渡し、変更点も連絡しています。それにもかかわらず、支給額の誤りや控除の反映漏れが起こり、従業員からの指摘で気づくという状況が続いていました。
ミスが出るたびに、どの時点の情報が反映されていないのかを追跡し、再計算を依頼し、差額調整を行う。この対応が毎月発生していました。
委託先に改善を求めても、「連絡を受けていない」「様式が異なっていた」といった説明になり、根本的な解決に至りませんでした。
伝えているはずの情報が適切に伝わっていない。この構造を変える必要があると考え、委託先の見直しを行うことにしました。
1.問題と課題
現状分析の結果、以下のような問題点が抽出されました。
- 情報の伝達経路が複数あり、どの連絡が反映されたのか追跡できなかった
- 期中の変更連絡が、月次の定例データと別経路で届いていた
- 委託先の受入様式と当社の出力様式が一致せず、転記時に誤りが生じていた
- エラーが発生しても、原因究明ではなく個別の修正で処理が終わっていた
- 同種のミスが繰り返し発生していた
ポイントを整理すると、問題は伝達の有無ではなく、情報の侵入経路が管理されていないことと、エラーの原因追究が行われていないことにありました。
2.業務の引継ぎと現状把握(STEP1:業務把握)
さかえ経営には、現状の業務を把握してもらったうえで、エラーの発生場所と原因を確認してもらいました。
過去に発生したミスを類型化し、それぞれがどの工程で生じたのかを特定していきました。
あわせて、情報の侵入経路を洗い出しました。勤怠データ、人事異動情報、扶養の変更、諸手当の変更が、それぞれどの経路で、誰から、いつ委託先に届いていたのかを整理しました。
この作業により、ミスの多くが特定の工程に集中していることが確認できました。
3.BPO開始後の運用(STEP2:BPO開始)
移管にあたっては、当社の作業を極力なくした形でBPOを開始しました。
情報の経路を一本化し、当社側でのデータ作成・加工を排除することで、転記に伴う誤りの発生源をなくしました。
移管当初は、ミスの原因になっていた箇所および工程に特に注意を払いながら運用し、該当箇所については二重の確認を行う形としました。
また、エラーやインシデントが発生した場合には、その原因と対策を講じることが運用として組み込まれていました。個別の修正で終わらせず、なぜ発生したのかを工程に遡って確認し、必要に応じてフローそのものを見直すという考え方です。
4.業務改善の実施(STEP3:BPO業務改善)
業務が安定化したタイミングで、効率化はもちろん、インシデントの原因を対象とした改善を行いました。
発生したエラーの原因を分類し、工程の設計に起因するものについてはフローを変更しました。単発の注意喚起では再発が防げないという前提で改善が進められています。
5.導入後の効果と今後の展開
エラーの数は激減し、情報の伝達工数等を大幅に削減することができました。
従業員からの指摘でミスに気づくという状況はなくなり、人事部門が差額調整や説明対応に追われることもなくなりました。
当社側の工数が削減された結果、人員の再配置や採用の停止により、人事部門の人員数を徐々に減らしています。
今後は、そこで生まれた余力をもとに、戦略部門に向けた施策について検討していきます。