外注しているのに工数が減らない状態からの脱却
2026.10.08
コストを変えずに人事部門の作業を大幅削減
当社は数年前から給与計算を外部に委託していました。
ところが、委託しているにもかかわらず、人事部門の作業量が期待したほど減りませんでした。
委託先に渡すためのデータを、指定された様式に整えるところに毎月相当な時間がかかっていました。勤怠データを加工し、人事情報を別シートに転記し、変更点を一覧にまとめる。この準備作業が、内製時代の作業とあまり変わらないボリュームだったのです。
さらに、同じ情報を複数回伝えなければならない場面が多くありました。人事異動の情報を、月次の連絡票にも、個別の依頼メールにも、社会保険の手続き依頼にも記載する必要があり、どこかで食い違いが生じると照合作業が発生しました。
「外注しているのに工数が減っていない」という問題意識から、委託先の見直しを検討し、さかえ経営に相談しました。
1.問題と課題
現状分析の結果、以下のような問題点が抽出されました。
- 委託先の指定様式に合わせるためのデータ加工に、毎月多くの工数がかかっていた
- 同一の情報を複数の経路・複数の様式で伝える必要があった
- 伝達した情報の食い違いを確認する作業が別途発生していた
- 委託先の作業範囲が限定的で、境界にある作業が当社側に残っていた
- 外注化の目的である工数削減が実現していなかった
ポイントを整理すると、委託先の処理能力の問題ではなく、当社と委託先の間の作業導線が設計されていないことが原因でした。
2.業務の引継ぎと現状把握(STEP1:業務把握)
さかえ経営には、まず最終アウトプットを確認してもらい、そこに至るまでの過程と作業内容を洗い出したうえで、作業導線を整理してもらいました。
「誰が、どの情報を、どの様式で、いつ渡すのか」を最終成果物から逆算して設計するという進め方です。
その結果、当社が行っていた加工作業のうち、大部分は委託先側で処理できるものであることが分かりました。様式を整えていたのは、委託先の受入形式に合わせるためであり、業務上必要な加工ではなかったのです。
3.BPO開始後の運用(STEP2:BPO開始)
移管にあたっては、当社側は現行のワークフローから出てくる情報を、加工せずにそのままさかえ経営に渡す形としました。
勤怠システムから出力したデータ、社内の申請ワークフローの承認結果、これらを原形のまま渡し、給与計算に必要な形への加工はさかえ経営側で行ってもらいます。
情報の経路も一本化し、同じ情報を複数回伝える必要がなくなりました。
システムで対応できない処理については、別データでの管理や別途の計算という工程を組み込んでもらい、当社側に作業が戻ってこない形で設計されています。
これにより、当社側の工数は大幅に削減されました。
4.業務改善の実施(STEP3:BPO業務改善)
運用が安定した後は、効率化を進めるにあたって、システムの見直しの検討と、BPO範囲の見直しを行いました。
勤怠システムと給与システムの連携方法や、申請ワークフローの項目設計についても、実務を踏まえた助言を受けています。
5.導入後の効果と今後の展開
コストは従前と同じにもかかわらず、人事部門の業務を大幅に削減することができました。
委託料の水準を変えずに工数が減ったことで、実質的なコスト効率は大きく改善しています。
今後は、人的資本への対応に伴い、システムの見直しやBPO範囲の拡大を検討しています。
また、どのデータ項目を収集すべきかという点についても相談できる関係になっており、制度・システム両面での検討が進めやすくなりました。