製造現場・人事制度見直しに よる新分野への進出
2020.09.10
現場改善の生産性向上と労働の価値観のパラダイムシフト
当社はこれまで、大手自動車メーカーの下請け業務を行っていましたが、リーマンショック以来、このままではいけないと判断しました。
まず検討したのが新分野への受注でしたが、顧客からの金額と当社の利益水準が全く合っていなかったため、難しい状況に陥っていました。
また、社内においても、組織が活性化しているとは言いがたく、新分野へのチャレンジにおいて消極的な意見が目立ちました。
このような状況を打破すべく、製造プロセスの刷新と、人材の活用に本腰を入れるとともに、
多様な人材の受け入れを決め、改善・制度構築に着手しました。
1.現状分析と課題設定
まず現状分析として、制度分析、人材の分析、業務分析を行いました。
制度においては、目立った法令違反はないものの、長時間労働が慢性化しており、生産性が低い現状、
そして、従業員のモチベーションは非常に低い状態でした。分析の結果、問題として、下記のように認識しました。
(1) 原価が適切に把握できていない
(2) 業務の無駄・重複が確認できる
(3) 人材のモチベーションが大きく下がっている
(4) 人事制度そのものが単一的なものである
(5) 人材に合わせた人材マネジメントが展開されていない
2.施策の立案と実行
施策の実施に当たり、まず、業務・組織面の問題・課題を明確にしました。
特に重要なのは、組織連携が不十分なため、業務の重複が多いということでした。
その原因として、原価が十分に把握できていないことによるものでした。
そのため、業務改善のWG(ワーキンググループ)を設立しました。
メンバーのアサインにおいては、役職・社歴等関係なく、人材分析の結果をもとに、「会社に対してある程度コミットしている」人材にしました。
それと同時に、一定の退職者も予定されるため、「制約社員の活用」をすべく社内アンケートを実施し、
シフト勤務の採用や、時短社員制度の導入、人事評価制度等の見直しを図りました。
3.施策の定着化と理解の浸透
これまでのやり方を変えることが難しい業務については、当初よりも時間を要する結果となりました。
しかしながら、所謂「制約社員」の活躍、WGのメンバーの取り組みもあって、数カ月で、既存業務の効率は飛躍的に伸びました。
次の段階としては、新分野への着手にあたりました。
しかし、すでに、分野・商材は決まっており、利益を出せるかということが焦点になりました。
どの工程が最も重要なのか、必要工数等も把握できていたため、後は実施するだけでした。
ここまでくると、モチベーションが高かったため問題なく、実施することが出来ました。
4.多様な人材のへのアプローチ
実際の施策は展開していましたが、人事制度においても、多様な人材に対応すべく、人材を総合職、限定職A、限定職Bの3つに分類しました。
イメージとしては、総合職は時間に捉われない働き方、限定職は時間内に生産性をあげるかどうかを求めてきました。
5.効果とその後
これまで、経営者以外は誰も当事者意識がありませんでしたが、総合職を選抜したため、役割が明確になったと同時に、
抜擢も行ったので、経営に対して、意識する人材が増えました。
また、限定社員においても、評価軸(賃金)が単に時間ではなくなったので、「カイゼン」意識を持ったのと同時に、
業績が上がることにより、賞与や退職金も充実することが出来、インセンティブも増えたことにより、満足度の向上に繋がりました。
今後、フレームとして確立した、業務の状況と、人材マップを毎年行うことにより、経営からアクションを展開することが出来る等同時に、
従業員側からの意見も積極的に取り入れ、さらなる生産性向上に努めています。