事務所への監視カメラ設置はプライバシーの侵害か?
最終更新日:2024.10.24
目次
問題の事象
当社では、防犯およびハラスメント行為を抑制するため、事務所内を俯瞰できる場所に監視カメラを設置しました。
ところがこれを知った社員Aより、常時挙動を監視されるのはプライバシーの侵害なので、すぐにカメラを撤去してほしいとの訴えがありました。
カメラは撤去する必要があるのでしょうか?
解説(基本的な考え方)
「防犯およびハラスメント行為を抑制するため」という明確な目的で設置されており、設置自体に問題はないと思われます。
ただし、
監視カメラ設置にあたって注意すること
職場はもともと多くの社員が一緒に仕事をする場所であり、監視カメラを設置したとしてもそれだけで直ちにプライバシー権侵害に当たるとはいえません。
他に設置が違法と考える理由も見当たらず、社員に拒否する法的権利があるとは考えにくいでしょう。
ただし、設置にあたってはいくつか注意の必要があります。
設置場所に注意
更衣室やトイレへの設置は論外ですが、休憩室などプライバシー保護の必要性が高い場所に監視カメラを設置する場合は注意が必要です。
ハラスメント抑止のためにどうしても休憩室の監視が必要であれば、
必要があるでしょう。
目的と設置場所を周知する
防犯目的の場合、周知せずに設置することですぐに違法とされる可能性は少ないでしょう。
ただ、
ハラスメント行為などを含め、懲戒事由に該当する事実の調査に映像を利用するような場合
には、利用目的を周知しておいたほうがトラブルとなりにくいかもしれません。
録画した映像は適切に管理する
映像によって個人を特定することができる場合、その映像は『個人情報』に該当し、個人情報保護法のルールが適用されます。
社内規定を作成しておく
設置の目的や使用方法を明確にするために、
- 責任者と権限の範囲
- 設置場所
- モニタリング時間
- モニタリングが適切に行われているかどうかの監査役は誰か
などを、社内規定に明記して周知しておくとよいでしょう。
まとめ
職場に監視カメラを設置することに違法性はありません。
ただし、設置場所の選定や録画した画像の使用目的については、十分な注意と検討が必要でしょう。
また設置にあたっては事前に社員に対し説明しておくことも大切です。
監視カメラを設置する目的や設置場所を周知し、誰がどの範囲で撮影された画像を利用できるのか、あらかじめ規定を作成して明らかにしておくことが後のトラブルを防ぐことにつながります。