オフィスでの冷房(エアコン)の温度設定は何度が適当か?
最終更新日:2025.07.29
問題の事象
夏季は冷房温度の設定に悩むことが多く、従業員からは「暑すぎる」、一方では「寒すぎる」といった声が聞かれ、適切な温度設定が課題となっています。
職場の冷房温度は何度に設定するべきなのでしょうか?

解説(基本的な考え方)
職場の冷房温度設定については、寒がりな人もいれば暑がりな人もおり、全員が快適と感じる温度設定を見つけるのは容易ではありません。
・省エネルギーの観点
・従業員が快適と感じる室温
など複数の観点から、それぞれの職場にあった温度設定を模索するのがよいでしょう。
温度設定で考慮すべき観点は?
法的基準
労働安全衛生法やその関係法令において、冷房温度の明確な数値基準は定められていません。
ただし労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」には、
という努力義務が記載されています。
省エネルギーの観点
環境省が推進するクールビズでは、「冷房時の室温の目安として28℃」が推奨されています。
ただし、
・軽装(ノーネクタイ・ノージャケット)を前提とした目安であること
に注意が必要です。
従業員が快適と感じる室温
平均的な設定温度は?
帝国データバンクによる「夏の電力使用量の削減に関する企業アンケート(2023年)」によると、
①企業が推奨する冷房設定温度の「平均」は26.2℃
②回答の内訳は
<1位>「26℃」(30.7%)
<2位>「27℃」(22.9%)
<3位>「25℃」(18.7%)
<4位>「28℃」(15.1%)
(有効回答1277社)
と、全体の9割近くの企業が「25~28℃の範囲」での設定を推奨しています。
男女の体感温度の違いは?
洋服の青山(青山商事株式会社)が行った調査によると、
・男性は「空調が弱くて暑い」と感じる傾向がある
と報告されています。
これは男女の基礎代謝や筋肉量の違いに起因し、女性の方が冷えやすく寒さに敏感であるという身体的傾向が背景にあります。

※「夏場のビジネスパーソン最大の課題は「体感温度管理」 女性はオフィスの空調が“効きすぎて寒く”、男性は空調が“弱すぎて暑く”感じている」(青山商事株式会社・PR TIMES掲載)より引用
まとめ
温度設定に決まった正解があるわけではありません。
業務内容・建物構造・人の密度などによって適温は異なります。
・「暑い・寒い」の声を定期的に集める
アンケートやチャットツールを使って従業員の体感を可視化すると、よい判断材料になります。
・服装や備品で個別対応を促す
軽装勤務に加え、ブランケットやカーディガン、パーソナルファンなどの使用を許容するルール整備が有効です。
・席の配置変更やゾーン管理
空調の当たり具合に差がある場合は、希望に応じて座席を選べる仕組みも効果的です。
このような様々な取り組みにより、従業員の体調や快適性を尊重しつつ、省エネも両立できる冷房運用を模索してみてください。