熱中症対策が義務化されました。具体的にどのような対応が必要でしょうか?
最終更新日:2025.06.27
問題の事象
企業の熱中症対策が義務化されましたが、具体的にどのような準備しておけばよいでしょうか?
解説(基本的な考え方)
労働安全衛生規則が改正され、令和7年6月1日から施行されました。
この改正により事業者は、熱中症の発生時に適切な対応ができるよう
- 早期発見のための体制整備
- 重篤化を防止するための措置の実施手順の作成
- これらの内容を関係者に周知する
ことが必要となります。
熱中症とは
「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、
- 体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり
- 循環調節や体温調節などの体内の重要な調整機能が破綻する
などして発症する障害の総称です。
熱中症の症状
症状として、
- めまい、失神
- 筋肉痛、筋肉の硬直
- 大量の発汗
- 頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐
- 倦怠感、虚脱感
- 意識障害
- 痙攣、手足の運動障害
- 高体温
発生時の応急処置
その人の状態やその場の環境によりますが、まず下記の手順で応急処置を行いましょう。
①意識を確認する
意識がはっきりしていなければただちに救急隊を要請
②意識がはっきりしている場合は
- 涼しい場所(エアコンの効いた室内、風通しの良い日陰など)へ避難させる
- 衣服をゆるめ、からだを冷やす(特に首の回り、脇の下、足の付け根など)
- 水分・塩分、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給
- 自力で水分がとれなければ、ただちに救急隊を要請
労働安全衛生規則の改正にともない準備しておくこと
熱中症を生ずるおそれのある作業とは
・WBGT(湿球黒球温度)28度
・気温31度
以上の作業場において行われる作業で、
・または1日当たり4時間
を超えて行われることが見込まれるもの
具体的な準備内容
熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際には、
1.報告体制を定める
① 熱中症の自覚症状がある作業者
② 熱中症のおそれがある作業者を見つけた者
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定める
2.発生時の措置や実施手順を定める
① 作業からの離脱
② 身体の冷却
③ 必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④ 事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定める
3.周知
これら定めた内容を関係作業者に対して周知する
まとめ
今回の改正省令では、熱中症対策を義務づける職種・業種の範囲を定めていません。
また作業内容が屋内か、屋外かなどの指定もなく、条件に当てはまる作業をおこなう企業は全てが対象となります。
そのため、工場や倉庫での作業を中心とする業種や、気温31度を超える日に1時間以上出歩く営業職なども対象となります。
幅広い業種が熱中症対策義務化の対象となるため、事業者はいま一度自社の業務内容を確認しておきましょう。