欠勤による有給休暇は承認すべき?欠勤と有給の違いとは?
2019.12.27
「昨日の欠勤を有給休暇で処理して欲しい」と言われた
昨日、病気で欠勤したA従業員が、今日になって「昨日の欠勤を有給休暇で処理して欲しい」と要求してきました。
この場合、有給休暇を与えなければならないのでしょうか。
欠勤とは本来出勤すべき日に、従業員の都合で休むこと
出勤するはずの日に、突然の体調不良や私用など従業員側の自己都合で休む場合は欠勤にあたります。
有給休暇と欠勤の違いは、「給料が支払われるか支払われないか」で、「欠勤」は本来、勤務する契約の日に就労しないことになるため、給料が支払われないのに対し、有給休暇は就労しなくても給料が支払われます。
ノーワーク・ノーペイの原則(労働基準法24条)
労働者は労務を提供し、会社はその対価として賃金を支払うのが、給与計算の基本原則です。つまり、労務者が働いていない場合は、使用者は賃金を支払う義務はありません。
しかし例外として年次有給休暇などはノーワークでありながらも賃金の支払い義務があります。
有給休暇は事前の申請が必要。だが会社が承認すれば振替可能
労働基準法における有給休暇は、あくまでも事前の申請を要件としています。
この「相当の時間」とは、どんなに遅くても休暇が始まる前に申請しなければなりません。
0時から24時の間において成立するという年次有給休暇の性質上(原則として、年次有給休暇は「一労働日」単位で取得するものであり、その「労働日」は暦日計算によるものとされています(昭26・9・26基収3964号、昭63・3・14基発150号))、
会社が承認した場合に初めて、年次有給休暇の取得や振り替えが認められることになります。
しかし、必ずしもその通りではなく、その
他の社員も同じような取り扱いをしているのであれば、有給休暇を与える必要があります。逆に、そのような慣習がなければ与える必要はありません。
病欠を有給休暇に認めるかどうかを就業規則で規定する
やむを得ない突然の体調不良であれば、有給休暇を認めるとすると、「病欠であればすべて有給休暇にできる」という
間違った認識がされかねないため、事前申請の無い病欠を有給に認める場合の条件を規定しておくのがよいでしょう。
さかえ経営は、解雇に関する問題解決の支援をいたします。
社会保険労務士と経営コンサルタントが、法律と経営の両方の視点から、解雇の問題の解決を支援いたします。
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「有給休暇」に関するトラブル解決方法について
特別な理由が無ければ、後から有給申請するのはNG
年次有給休暇の振り替えやを社員の権利として認めるような就業規則上の定めや、労使慣行の成立が認められるというような特段の事情がない限り、会社には、欠勤日を事後的に年次有給休暇に振り返る義務はなく、そのような要求に応じる必要はありません。
「事前に届け出て体を休める」という有給休暇の本来の目的が失われると同時に、有給化取得の手続きが煩雑になる可能性があります。
年次有給休暇の振り替えを社員の権利として認めるような内容が就業規則になかったとしても、
もあり、そのような事態になると、常に有給休暇が取得でき、そのことによる業務上の重大な支障がない解釈ができ、本当に必要な時に、時季変更権の行使が難しくなる可能性があります。
「有給休暇は事前申請が必要」であると就業規則に記載する
年次有給休暇の事後申請が社員の権利として認められるような、就業規則上の定めや労使慣行の成立が認められるような事情がある場合には、このような振り替えに応じないことが違法になります。
そのため、
です。いつまでに申請すべきかを記載することは可能ですが、実務運営上難しいと思います。
この場合は、あくまでも
し、実際は運用に委ねる方が良いかと思います。また、その場合において、時期委変更等の内容を踏まえておくことも重要です。
しかし、単に踏まえるだけでなく、
年次有給休暇の取得の利用目的・理由を、
①事業の正常な運営を妨げる場合、
②数人が同じ日に取得する場合において、時季変更権の行使の判断において利用目的・理由を考慮するために年次有給休暇の利用目的・理由を会社が確認することについては適法
であると考えられています。
一人に許すと、全ての従業員にも許すことが必要に
有給休暇はよほどの事由がない場合、与えることが必要です。
しかしながら、他の従業員に対して、当日又は事後の有給休暇を認めてしまうと、すべての従業員にそのような対応が必要になってきますので、注意してください。
一般的な就業規則(ひな形等)においては、「事前申請」や「時季変更権」についての記載があるものが多いですが、慣習上それらが形骸化している場合などは、いざ適用という事態になっても法律的には認められない場合があります。
そのため、原則としては例外を認めるべきではありません。しかし、実運用としては、認められる場合が多い現状を踏まえると、
とリスク軽減につながるのではないでしょうか。
就業規則のつくり方
労働基準法では、以下の条件を満たした労働者に10日以上の年次有給休暇を付与することが決められています。
②その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
その他の具体的なルールについては、会社ごとに規則を策定する必要があります。
例えば
・上長の事前承認が必要である
・病欠の場合は年間〇日のみ、後からの申請でも認められる
・〇月~〇月の繁忙期は休暇を認められない場合がある
・複数人が同時に休暇申請された場合は認められない など
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「有給休暇」に関するトラブル解決方法について
チームとして目標を達成するための取り組み
有給休暇の利用目的の記載等のルールの構築等が重要になりますが、
だと思われます。
病欠を限りなく減少するという主旨で、責任感の醸成・助け合いを促すような仕掛けが必要だと思われます。
アプローチは様々ですが、一例として、当該組織のタスク・目標の共有が挙げられます。目標管理がその手段の一つですが、
が本来の流れです。その仕組みを活用して、組織のミッションを構成員すべてにタスク分けを行い、進捗を管理するという別のアプローチが必要になります。その際、勿論、従事しているジョブ、そして、それに紐付くグレードに応じて、そのタスクが割り振られるべきだと思われます。