【労務必見】給与計算が難しい…!事務作業を効率化させる方法を解説!
最終更新日:2024.04.23
目次
そもそも「給与計算」とは?
給与計算業務とは、従業員に対して支払う賃金の計算のことです。
これには、勤務状況や各種手当の合計から給与の総額を求める作業が含まれますが、単に金額を算出するだけではありません。給与から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料や所得税、住民税などの税金を差し引いた手取り額の計算も行います。通常、この計算は月に1回実施され、給与計算ソフトを利用して自動化している企業も多いです。給与計算は、従業員への適切な賃金支払いだけでなく、税金や社会保険料の正確な計算と納付を通じて国の事務を代行する重要な業務でもあります。
そのため、支給金額の誤りや支給遅延などがないよう、正確な作業が求められます。
給与計算が難しい「3つ」の理由!
給与計算は、従業員の生活を支える基盤となる業務です。
給与計算業務は一見シンプルに見えて、実は多岐にわたる複雑な要素が絡み合う難易度が高い計算業務とされています。
ここでは、給与計算が難しいといわれている理由について3つ紹介します。
1.精密とプレッシャー
給与計算には正確さが求められます。給与の振り込みは正確性が求められることはもちろん、残業代の計算ミスや税金の計算誤りが生じた場合には、追徴課税となるなど、重大な影響を及ぼす可能性があります。責任感のある業務となるため、担当者はプレッシャーを感じている場合があります。
2.多様な給与体系と税制改正
給与計算は従業員ごとに異なる基本給や手当、休日手当、ボーナスなどの要素を考慮し、さらに税制改正や社会保険料の変更といった外部環境の変化にも迅速に対応する必要があります。これらの情報を常に最新の状態に保つ必要があるため、複雑な業務となります。
3.高度な機密性の維持
給与情報は従業員のプライバシーに直結するため、その取り扱いには高度な機密性が求められます。個人の給与データやマイナンバーといった情報を適切に管理し、不正アクセスや漏洩を防ぐことは、給与計算業務の重要な側面です。また、この情報を扱う上での守秘義務も、業務を行う上での大きな責任となります。
これらの理由から、「給与計算が難しい」と感じることは、業務の性質上当然のことと言えるでしょう。正確性の追求、常に変化する法規制への対応、そして高い機密性の維持は、給与計算にかかわる担当者の課題にもなり得ます。
給与計算の作業内容は?
給与計算は、社員の給料を決定し支払うまでの一連の工程を含む複雑な業務です。
ここでは実際の流れを紹介していきます。
1.社員の勤務時間、残業、休日出勤などの勤怠データと各種手当をもとに総支給金額を計算します。
2.社会保険料(厚生年金、健康保険、雇用保険など)、所得税、住民税といった給与から差し引かれる金額を算出します。
3.最終的な手取り額が決定します。
4.計算後は、賃金台帳や給与明細書を作成し、これらの書類には従業員の賃金の計算基礎、額、氏名、性別などの詳細を記載します。
5.給料日に手取り金額を従業員の指定口座に振り込み、作成した給与明細を配布します。
6.給与から控除した社会保険料や税金を、それぞれの納付先へ支払います。
給与計算は、正確性が求められる業務でありミスは許されません。
計算過程で発生する可能性のある誤差を防ぐため、注意深くチェックすることが必要です。特に法改正や昇給などで計算基準が変わる場合は、常に最新の情報をもとに計算を行う必要があります。
給与計算の効率化と正確性を高めるために、アウトソーシングしたり、給与計算ソフトウェアを導入している企業が多いです。
給与計算は外注(アウトソーシング)できる!
給与計算を外注するかどうかは、企業の規模、人員構成、および経営資源の配分によって変化します。
以下に外注すべき企業、自分で行うべき企業の特徴をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
外注を検討すべき企業
1.従業員数が多い企業: 特に10名を超える企業では、給与計算の煩雑さが増すため、外部の専門業者に委託することで、正確性を確保しつつ業務の負担を軽減できます。
2.専門性が求められる場面: 給与計算は複雑で専門的な知識を必要とし、法改正への対応も求められます。これらに対応できる人材を内部で育成する余裕がない企業は、リスク回避の観点からも外注が適切です。
3.主要業務への集中が必要な企業: 給与計算に時間を割かれ主力業務に支障をきたすような場合、給与計算を外注することで、主要業務に充てる人材を増やすことができます。
自社で行うべき場合
一方で、頻繁に就業規則が変わる場合や、すべての業務を内部で完結させたいと考える企業は、外注よりも内部での処理を検討すべきかもしれません。ただし、その場合でも費用対効果をしっかりと検証することが重要です。
結論
給与計算の外注は、従業員数が増加している、専門的な知識が社内に不足している、法改正への迅速な対応が難しい、などの場合において特に効力を発揮します。また、給与計算に関わる作業が主要業務を圧迫している場合も、外注を通じてリソースを適切に配分し、企業の成長を促すことが可能です。自社の状況を正確に把握し、最適な選択を行うことが重要です。
下記記事では特に「社労士への外注」についてより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
アウトソーシングすることによる3つのメリット!
給与計算を外注することは、企業課題への有効な解決策となり得るでしょう。
外注により得られる主なメリットを大きく分けて3つにまとめてみましたので紹介します。
1.コスト削減と効率化
給与計算に関わるコストは、人材コストやシステム維持費などがあげられますが、外注を利用することでこれらのコストを大幅に削減することが可能になります。法改正に伴うシステム更新費用や、専門知識を持つ人材の教育にかかるコストも含めて、アウトソーサーがカバーしてくれます。
2.法令改正への迅速な対応
税制や社会保障関連の法令は年々改正されており、これに対応するためには専門的な知識と情報の更新が必要です。アウトソーサーは最新の法令変更に常に把握していますので、このような変化にも企業が素早く適応できるようサポートします。これにより、企業は法令遵守のリスクを大きく減らすことが可能です。
3.コアビジネスへの集中
給与計算は重要な業務でありながらも、企業の主要な収益源とは直接関連しないため、この業務に多くのリソースを割くことは避けたいところです。外注によって、給与計算の定型的な業務から解放されることで、企業はそのリソースを新しいプロジェクトの開発や既存ビジネスの拡大など、より価値の高い活動に注力できるようになります。
給与計算を外注することは、経済的、労務管理的、戦略的な観点において大きなメリットとなり得ます。
これにより、企業の生産性向上・効率化を図ることが可能になります。
給与計算をアウトソーシングすることで発生する4つのデメリット
給与計算をアウトソーシングする際には、多くのメリットがありますが、下記のようなデメリットの存在も意識しておく必要があります。自社にとって最適な選択ができるよう、下記にある4つのデメリットを把握しておきましょう。
1.対応できる社員が少なくなる
給与計算のアウトソーシングは、社内での専門知識やノウハウの蓄積の機会を奪ってしまう場合があり得ます。
給与計算に関連する労務事項や税制などの知識が社内になくなり、内部で即応できる体制が欠如する可能性があります。これは、将来的にアウトソーシングをやめたい、あるいは必要に迫られた際に、社内で適切に対応できないというリスクに繋がります。
2.すべてを代行できるわけではない
アウトソーシングしても、勤怠管理や従業員情報の更新など、すべてを外部に委託できるわけではありません。
これらの業務は社内で処理する必要があり、場合によってはアウトソーシングによる効率化が想定より下回る可能性があります。また、アウトソーサーとの連携やデータ提供のために、社内での業務負担が増えることも検討する必要があります。
3.データ漏洩のリスク
個人情報を含む給与データを外部企業に委託することは、情報漏洩のリスクを伴います。アウトソーシング先のセキュリティ対策や情報管理体制が十分でない場合、重大な問題につながる恐れがあります。委託先の選定には、これらのリスク管理策に対する詳細な確認が求められます。
4.代行業者によってアタリ・ハズレがあることも・・・
アウトソーシング先の業務品質は一定ではありません。中には計算ミスを頻発するなど、品質が期待に応えられない場合もあります。そのため、アウトソーシング先を選定する際は、その実績や評判をしっかりと検証し、必要な契約条件を明確にすることが重要です。
これらのデメリットに対して、適切に対策を講じ、事前にリスクを把握しておくことで、給与計算のアウトソーシングを成功に導くことができます。最終的には、企業の具体的なニーズや状況を考慮して、アウトソーシングの利用が最善か自社での処理が最善かを慎重に判断することが必要です。
給与計算は「計算代行(アウトソーシング)」も視野に
給与計算は複雑な上に、従業員数が増えるほど難しく、ミスが許されない作業です。さかえ経営では、東京エリアの企業(200〜1,000名規模)における、給与計算(労務)業務のサポート・代行を行っています。
給与計算のやり方や、計算代行(アウトソーシング)をご検討中の方は、まずはお気軽にご相談ください。