副業・兼業社員の社会保険加入、会社の負担は増える?副業の種類による違いとは
目次
社員が副業しているかどうかで、会社の社会保険料は変わる?
当社では、社員の副業を認めています。
副業している社員の社会保険料はどのように変わりますか?
副業で本人の収入が増えても、会社が負担する社会保険料は変わらない
本人の働き方により手続きは異なりますが、基本的には本人からの申請によるものです。
副業をして本人の収入が増えたとしても、会社が負担する社会保険料が増えることはありません。
①会社を管轄している年金事務所に、本人が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を自分で提
出します。
この届出書には、本人が所属する事業所と事業所毎の所得に対する報酬月額を記載します。
②年金事務所では、本業・副業で合算した社会保険料を算出し、会社ごとの報酬月額で案分して会社ごとの支払い額を決定しま
す。
③それぞれの会社がそれぞれで案分した社会保険料を天引きします。
④会社側は社会保険料の負担が増えることはありませんが、収入の増加に伴い本人の社会保険料は増額することとなります。
社会保険は会社に対する加入義務ですので、副業が個人事業であれば、特に変更点はありません。
現行の社会保険制度では、会社(社会保険)と個人事業(国民健康保険・国民年金保険)のいずれか一方にしか加入できません。
会社がメイン(本業)であれば、会社の社会保険に加入し、報酬月額も会社から得る報酬のみを算定基準とします。
よって、会社も本人も支払う社会保険料に増減はありません。
代表者一人でも会社法人組織であれば、社会保険の加入が求められます。
代表者ではなく役員の場合でも手続きについては上記のパート・アルバイトと同様です。
副業収入により社会保険料が変動したら、本人が確定申告する
社会保険料については、本人には社会保険料の増額などが生じますが、会社側にリスクはありません。
なお、本人は複数の先から所得を得ることから確定申告をすることとなります。
労働法関連では、労働者保護の観点から過重労働防止に配慮する努力義務があり、例え社内であっても複数事業所での通算による総労働時間管理が求められます。
これは副業で別の会社に所属している場合でも本業の会社で管理することが必要です。
残業時間の上限管理も副業での労働時間が含まれます。
副業がフリーランス(個人事業主)の場合は、労働法による労働者に該当しないため、総労働時間管理・残業時間管理は必要ありません。
副業の許可申請の制度をルール化する
社員の副業を認めるうえで、「副業・兼業許可申請書」といった申請書式を導入します。
本人が本業とする会社においては、副業も含めた総労働時間管理(時間外労働の上限規制対応)・過重労働防止のための安全配慮を行うこととなります。
許可申請副業先の会社名・所在地等の他、業務内容・雇用形態・勤務日数・勤務時間などを記載させます。
「なぜ兼業するのか」の理由なども必要に応じて追加してください。
規程や申請書には、本業に支障をきたさないこと・本業の自社の信用を損なうことがないよう努める(誓約する)こと・機密情報漏洩の禁止などを記載します。
業員として(フリーランス等の個人事業主でない場合)の副業においては、社会保険・労働時間の通算制度などの問題があり、中々難しい面があるかと思います。
その場合、副業(後に契約を締結した会社)の労働時間等の契約内容は勿論、就労状況を把握することが必要になるため、毎月の管理方法・申請方法等のルール付けが必要なってきます。
副業による過重労働や通常業務に支障が出るなど、リスク回避のためルールづくり
副業が、会社の所属するものか・フリーランス(個人事業)かを把握し、別法人に所属している場合は、本業として副業を含めた労働管理が求められます。
通算して過重労働が行われており労働災害に至った場合には、会社側にも責任が問われることとなります。
この設問の「副業の場合の社会保険料」には関連していませんが、現代ではSNSや動画サイトが日常的になり、副業申請しなくてもアフィリエイト報酬(成果報酬)を得ているかもしれません。
アフィリエイト報酬は、企業側で誰にいくら支払っているかを記録しています。
個人所得となるので、会社側での手続きは何も必要ありません。
しかし、SNSや動画サイトで収入を得ている場合に特に注意しなければならないのは、会社の信用毀損や情報漏洩・個人のプライバシーの漏洩でしょう。
労働時間の通算制度などがあるため、毎月の労働時間の状況、疲労、メンタル等の管理を定める必要があるかと考えられます。
さらに、通常業務に支障がきたした場合において、副職禁止のルール・マニュアル等の設定も必要になってきます。
人材マネジメント上のポイント
副業においては解禁する会社が増えています。
収入面は勿論、他の会社を知ることができる等のメリットもありますが、本業に影響するようなことがあれば、元も子もありません。
人材マネジメント上のアプローチとして、日々のオペレーションについても、必要なジョブ(職務)に対して、充足しているかどうかに関しては、ジョブ型人事制度を考え方をもとに、ジョブディスクリプションを作成し、必要人員を測定すると同時に、それに向けて、教育・研修等を行っていくことが、将来の飛躍に向けた俎上づくりにもつながると考えています。
いずれにしても、業務の量・内容の把握を第3者と共有することによる効果は非常に高く、特に管理者の動きが重要になってきます。